井伏鱒二の哀愁

世界を勝手に憂いてみる。
すると世界は拒絶する。
完璧だと信じたいから。不安を抱きたくないから。
しかし、老いも死も腐敗も待ってはくれない。身体や生の話だけではない。システムも同様だ。

 

花に嵐のたとへもあるさ
さよならだけが人生だ

井伏鱒二

 

しかしね、さよならできないのが”業”というやつですよ、鱒二さん。
さよならってな、やってくるもんだ。

…そうか、だから嵐なんだね、鱒二さん。
花も華も散るもので、それは時には嵐で前倒しになることもあるんだね。

さようなら。さようなら。

ほんのたった一年間、僕は何度さようならをしただろう。
大きいさようならに、小さいさようなら。次のさようならは、どれくらいだろう。

 

傷ついた分だけ、さようなら。